納得できない場合も遺留分請求は可能
亡くなった人が生前にもっていた財産を家族や親族が一定の割合で受け継ぐのが相続ですが、場合によってはこれがトラブルを招くこともあります。たとえば当人が生前に遺言書を作成していて、その内容としてすべての遺産を特定の人に譲るように指示されていた場合が挙げられます。このようなケースでは本来であれば遺産をもらえるはずだった人が著しい不利益をこうむり、今後の生活費の工面にも支障をきたしてしまう結果にもなりかねません。
そこで民法のなかでは遺留分といって、遺産のなかから最低限の割合だけは取り戻すことができる旨が規定されています。具体的には遺留分侵害額請求とよばれる手続きをすることになりますが、これは遺産を相続した本人に内容証明郵便などで直接請求をしても、また裁判所を通じた裁判のなかで争うこともできます。裁判にまでは至らないものの、裁判所に申し立てて話し合いでの解決をめざす調停の方法もよく用いられています。
相続により土地や建物の名義を変更するための手続き
遺産相続とはいってもその内容はさまざまですが、なかには現金や預貯金だけではなく、土地や建物といった不動産が含まれることもあります。このような場合ですが、まずは遺産分割協議をして所有権を引き継ぐ人を明確にして、その後で必要な書類とともに所轄の法務局に申請をして、不動産登記の名義を変更してもらう方法をとります。この手続きは税金の申告などとは違って具体的な期限はありませんが、いつまでも手続きをせずに放置してしまうと不動産の売却その他の処分が円滑に進まない原因となってしまいますので、早めに取り組むのが望ましいといえます。
法務局での手続きにあたって必要な書類はかなりの数に上ります。たとえば亡くなった人の出生から死亡までがわかる戸籍謄本、相続人の戸籍謄本・住民票・印鑑登録証明書、不動産の固定資産税評価証明書、遺産分割協議書といったものがそれにあたります。これらの書類を集めて申請書を作成するのに不安がある場合には、司法書士などのプロに依頼をしてもよいでしょう。