限定承認で不要分を排除
相続を行うときには、借金に関する問題点を考えなくてはいけません。例えば、相続分に大きな借金が存在するケースでは安易に手続きをするとその負債を権利者が抱え込んでしまうことになります。
こういった結果にならないようにするためには、その権利を放棄しなくてはいけません。一方で、全ての財産を継承するのではなく一部分だけ引き継ぐことができる方法もあります。これを限定承認といい、債権と債務の両方が存在するようなケースではとても使いやすい方法です。
例えば、1000万円の財産が存在していた場合、300万円の借金が存在するからと言ってその権利を放棄してしまうと、700万円分の遺産を手にすることができなくなります。
そこで、借金分のお金はきちんと遺産の中で支払って、残りのお金を手元に相続できるようにしたのが限定承認の魅力です。必要な相続分を手にすることができますので、間違った手続きをしなくても良くなるというメリットが存在します。
相続する遺産がマイナスだったときの対策法
自分が知らなかったけれど、亡くなった身内に借金があったというケースもあります。遺産がマイナスであったとしても、それは遺産と数えられるため相続することになります。
しかし、借金などのマイナスの遺産がある場合には、一部だけを相続する、またはそのものを放棄するという選択も可能です。
最も簡単なのが、全ての遺産を放棄するという方法です。借金が多い、プラスの財産があっても引き継ぎたくない財産が含まれている、自営業者の場合には後継者に全てを引き継いでもらうために放棄するということもできます。
プラスの財産がある場合には、それを限度として一部引き継ぐという方法もあります。借金の額が預貯金や不動産などの資産を上回る場合には、相続人が借金を自分で返さなくてはならないのですが、一部だけを引き継ぐのであればプラスの財産の額の範囲内で収められます。
どのように財産を受け取るのかを決めたら、家庭裁判所にその旨を申述して受理することで対策できます。